建物の重さを支持できなければ沈下します。
家が傾く原因は様々です。数多くの沈下物件を見てきましたが、原因で一番多いのは地盤にあります。建物を支える事が出来ない地盤の上に建物が建っている状態です。
道路の振動や地震などの揺れで徐々に下がるケースで1年目、2年目と計測して沈下の進み具合を確認できた事もあります。地震の揺れや液状化で沈んだケースも数多く見ております。
建物が下がる原因を下記にまとめました。どのような状態だと建物が沈下しやすいのか?知っていると家を傷める前に事前対策が出来ます。
主な沈下原因
建物の基礎近くを掘削した際に土が緩んで建物を沈める場合があります。
例えば
・狭い場所で隣の敷地にマンションなど建てる場合、矢板など土留めを行なって深く掘削します。その際に地盤が緩んで沈下する。
・給排水設備は建物基礎沿いに掘削するため緩んだ部分が沈下した。
全体に沈下するのではなく部分的な沈下になります。浄化槽撤去、便槽撤去など埋め戻した場所は圧密し凹むこともあります。
締め固まった土が緩むと建物を支えることが出来なくなります。建物近くの掘削には十分注意が必要です!
圧密沈下で建物が下がります。
地盤は重さを加えると土の間の水や空隙が徐々に減り、締め固まり体積が減少します。そのため建物の沈下が起きます。
これは盛土の締固め不足、擁壁工事の埋め戻し不足など地盤造成の不十分な施工によるものもありますが、地震などで締め固まった場合、道路からの振動で締め固まった例もあります。
現在は地盤調査が義務付けられ、地盤の支持を補う工事を行った上で建物を建てるため、以前より少なくなっています。
表層改良など行ってもその下に支持力がなければ建物は下がります。
昔の木造建物は地盤調査や地盤改良など対策している事は少なく、表層を固めただけでその下が弱く全体に沈下することがあります。
大きな建物でも対策として行った杭が支持層まで届いていない、ラップルコンクリートが支持層に達していない等が原因で建物が下がる場合があります。
倉庫土間はよく下がっています。地盤改良の設計以上の重量の有ると徐々に沈下します。
表層をどれだけ固めてもある程度の深さまで設計しないと意味がありません。
建物が沈下したため地盤調査した結果です。
表層で建物を持たせていたようですが10m付近まで建物を支える支持層がありません。
沈下修正工事で掘削していると埋戻しの際に異物が混ざっている場合があります。
大きな石やコンクリートガラ、タイヤなど埋めれば十分な転圧が出来ません。転圧が不十分ではいずれ沈下します。
木の切株が腐食し痩せて体積が減る場合があります。遺物があるのと同じ状態です。
建物そばの木の伐採は建物に影響でないか注意が必要です。
支える土の量が減れば建物は下がります。
擁壁側は裏込石が水を通すため土を洗う、または土が裏込石に入り込むのか?表層の土が減っている例が多いです。穴が開いていた場所もあります。
土が減れば当然その上にある建物は下がります。
また昔の擁壁などで強度不足で外に倒れている場合も土の体積が減り建物を沈下させます。宅地造成用のL型擁壁でも擁壁下が弱いと建物が沈下する可能性が有ります。
地震・液状化
地震の際に揺れによって建物が地盤に沈むことがあります。どれだけ固い地盤でも何トンもある住宅が上下に揺れれば地盤は締まります。地盤が弱い場所で揺れれば沈下量も大きくなります。
また地下水位の高い砂地盤が振動により液体状になる事で比重の大きい建物や構造物が埋もれ、倒れたりします。
液状化対策に100%の対策はありませんが、薬液注入工法による地盤改良がまだ効果があるとされています。
信じられないことが原因になることも。
書籍本棚を部屋の片側に集めたため沈下した物件もありました。漫画『カイジ』の沼編でビルの片側に水を貯めて建物を傾けた描写がありますが、十分有得ます。
地滑りによる街全体の沈下、兵庫の方で鉱山跡の上に建つ住宅街の沈下、新潟の方で工場が水を吸い上げすぎて地域の地盤が下がった例もあります。原因規模が大きいため沈下修正をしても10年保証など付けられない地域もあります。