10年保証は条件があります!
10年保証は沈下修正工事のすべてに付くわけではありません。
10年保証はいくつもの第三者保証会社があり、工事ごとにお願いするのがほとんどです。保証は保証会社に信用されない業者では付けることが出来ません。
(自社保証は会社がつぶれれば保証なしと同じです。自社保証しかつけられないようであれば別の業者を探すことをオススメします)
着工前に保証会社の事前審査があり、書類や施工計画を提出して保証対象になるか審査を受けます。
施行計画通りでOKであれば工事着工となります。保証会社から施工内容訂正がある場合はそのような施工計画に変更します。
この段階で保証できないとなった場合は今後保証が付くことはありません。
(審査は1件につき1回です。いい加減な施工計画で出されて弾かれると、この先ずっと保証が受けられない物件になります)
この審査内容の判定以前に下記の様な沈下修正工事は保証対象外となります。
建物の一部分の修正
一部分の沈下であっても建物全体の地盤改良や沈下対策を行わないと保証対象にはなりません。これは修正した箇所以外が沈下した場合、その影響で修正箇所が再沈下する可能性があるからです。
部分修正であっても全体の沈下対策が必要になります。
(ただし建物の一部分の修正でも地盤調査をして沈下のない箇所が建物を支持できる地盤であれば保証会社により10年保証可能)
土台上げ・柱上げ・耐圧板工法
沈下の原因は地盤である事がほとんどです。土台上げや柱上げは沈下原因に対する対策をせずに建物を上げるため、再沈下が起こってもおかしくありません。保証対象外なのは当然かと思います。
耐圧板工法はコンクリート平板などを沈めて一時的な反力をつけるのですが、その反力に永続性がありません。そのため耐圧板は沈下しにくくなりますが、完全に沈下が止まる訳ではありません。
(地盤踏査結果により改良などしなくても支持力が十分である場合は耐圧板工法で10年保証が出せる場合もあります)
完全に修正できない建物
保証に必要な修正精度は基準点±5mm、建物全体で1cmまでです。2cmや3cmの傾きが残ったままでは当然10年保証は発行されません。
・傾いた状態で増築をした場合
・基礎が割れて修正誤差が出る
・部分的な土台上げをした場所がある
上記のような傾きが残った状態で施行を終了しないといけない状況もあります。技術不足ではなく、建物の条件が悪く施工できない場合がほとんどです。
審査以前に問題点がある
審査はこれで10年は大丈夫とお墨付きを頂くため行います。
ですが、沈下修正をしてもほぼ再沈下する可能性が高くなる条件があると審査以前に先に対策を打つ必要があります。下記に当てはまる項目は注意が必要です。
・擁壁の倒れや割れ、いい加減な擁壁施工
・間知石の割れ、異変
・コンクリートブロック擁壁
・基礎が無筋
・図面と実際の施工が違う
・建物資料がまったく無い
・明らかに隣の建物が影響している
・地滑り地区
・宅地以前は池や沼
・基礎の設計ミス
・水が湧く
・明らかに違法建築物
・山沿いにある地盤がなく構造物上にある別荘等
保証については条件が厳しく簡単に審査が通るものではありません。地震の際はすべての保証窓口が受付を止めたケースも有ります。
保証料は¥7万~¥15万程度です。それに申請費や地盤調査費、図面が無い場合は図面製作費が必要です。